雑ナンパ戦記

きっと、参考にはならないでしょう。

曖昧なひと。人懐こさと、他人との境界線の話。

人懐こさというのは、武器だと思う。

 

あらゆる局面で、人懐こいことで得をするシーンがある。新しい職場に溶け込む速さだとか、初めて訪れる店での会話だとか、接客や営業をする際のお客さんとの会話だとか。人懐こいだけでは十分ではないかもしれないが、人懐こいことが最後の決め手になることは少なくない。無愛想で得をすることは、そんなに多くない。

 

もちろん、ナンパでも同じ。

誠実系のトークで固めの内容を話していたとしても、やはり人懐こさというのは滲み出るし、それで和みのスピードが上がるのは珍しくない。

 

人懐こさは生まれつきかというと、必ずしもそうではないと思う。無論、生まれた時から現在に至るまで常に人懐こいタイプもいるかもしれないが、ほとんどの場合、「そのときの気分」の要素が大きいのではないか。

自分を例にとると、仕事終わりに疲れ切った状態でナンパしたときよりも、休日に友人とランチして楽しくお喋りをした後にするナンパの方が、格段に人懐っこいナンパになる。シカトされてもなんとも思わないし、反応がとれたときに楽しく会話できることが多い。

 

人懐こい状態でするナンパは、ナンパ結果の陰陽のうち、陽を強め、陰を弱める。

 

ではどうやって、人懐こくなれるのか?というのを、たまにランチを食べにいくお店の、「会話内容は素っ気ないのに、なぜか人懐こさを感じる店員さん」を見ながら考えていた。

 

まず1つ。彼女は、物理的な距離感が近めだ。いわゆるパーソナルスペースの、ギリギリのラインを、踏み越えそうな近さ。ただし、ラインを踏み越えはしないので、「近すぎてキモい」とはならないのがミソなのだと思う。

そういう意味で、彼女は、物理的に、絶妙に曖昧なひとだ。

 

2つめ。彼女は、精神的な距離感が近めだ。接客業だから、来店した客に「いらっしゃいませ、おひとりさまですか?」と声をかけてはいるけれど、「お客様!」みたいな、かしこまった印象を受けない。ニッコリスマイルもしないし、変にいい声を出すこともない。かといって、粗雑な印象、無愛想な印象を受けることも、決してない。

「しっかりしなきゃ」みたいな、自分をよく見せようという意識が、全然ないようにみえている。だから、かしこまった態度やスマイルといった、「ゼロから関係を築くためのギミック」を使わない。それでも、会話してると、不思議と和やかな雰囲気になっているのだ。

濃すぎるメイクが美から遠ざかるように、関係構築のためにギミックを凝らしたコミュニーケーションは、かえって関係構築の妨げになるのではないか?なぜなら、その手のギミックが伝えるのは、「私はお店の人間で、あなたはお客様です。今から精一杯おもてなしします」という舞台設定だからだ。これが、彼女と他の店員を見比べて思いついた仮説。

もちろん、それで「馴れ馴れしい」とか「図々しい」とかいう印象を与えてしまっては本末転倒だから、これも実際には火加減が難しい。

そういう意味で、彼女は、精神的に、絶妙に曖昧なひとだ。

 

シンプルに彼女を真似するのは難しいけれど、声かけのときの自分の言葉や振る舞いについて、

「これはナンパですよ」

というメッセージを発していないか、点検するのが、「曖昧なひと」に近づくためのスタートになりそうだ。